ペット飼育に関してのトラブル

今回は「ペット飼育禁止特約」がない賃貸契約で入居者が無断でペットを飼ってしまい、
トラブルになったケースのお話です。

 入居者が、ペットの飼育禁止特約がないことを理由に、無断で猫を飼っていた。
そのため、貸主から更新契約が締結されず、今日に至っています。
このような場合、契約は更新されないのか、それとも法定更新されるのでしょうか?

 借主は、ペットの飼育禁止特約がない以上、ペットを飼う権利があると主張し、
貸主は、入居条件の変更だから貸主の承諾が必要だと主張しています。

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 借地借家法第26条第1項の規定によれば、貸主が更新を拒絶するには、
  期間の満了1年前から6か月前までの間に借主に対し更新しない旨の
  通知をするように定められています。
  
   → なので、結論としては今回のケースは「法廷更新」されます。

  貸主、借主どちらの主張が正しいかというのは、上記からだけでは
  判断できませんが、どちらが正しいかというよりも、当事者の話を
  よく聞いて、管理会社(不動産会社)が入って、ペットの飼い方や
  建物を明け渡す際の原状回復の仕方、その費用分担の方法等について、
  更新時の契約でしっかりと取り決めをしておくことが大切です。

  また、本件の賃貸借契約は期間の定めがある契約であるから、
  確かに貸主が契約の更新を拒絶するには、その期間の満了1年前
  から6か月前までの間に、借主に対し更新をしない旨の通知または
  条件を変更しなければ更新をしない旨の通知をする必要があると
  借地借家法は規定しています(同法第26条第1項)。
  しかし、貸主から契約の更新を拒絶するには、更新を拒絶することが
  できるだけの「正当事由」が必要であり(同法第28条)、その
  「正当事由」に関する第28条の規定をみると、本件のペットを
  飼ったという事実自体が「正当事由」の根拠になり得ないことに
  なります。ペットの飼い方について何度注意しても守らないと
  いうような事実があれば別なのですが、今回は原則としてこの
  第26条第1項の規定は適用されないということになります。

  あとは、そのペットの問題が賃貸借契約上の借主の債務不履行の
  問題として、貸主が賃貸借契約を解除することができるかどうか
  という問題として判断されることになると解されます。
  ただ、そうは言っても、その契約解除ができるか否かの判断は容易
  ではなく、ケースバイケースで判断されることになると解されるので、
  当事者が期間の満了までに話し合いによって解決できなければ、
  当事者の合意による契約の更新ができなくなります。
  となると、契約は、同法第26条第1項本文およびそのただし書きの
  規定に基づき期間の定めのない賃貸借契約として法定更新される
  こととなります。

  ペットの問題は、ペットの種類とその飼い方によって結論が異なると
  解されます。
  血統書付きの猫を増やしたり、何匹もの猫を飼って室内を汚したり、
  キズを付けたり、フン尿の始末をキチンとしないというような
  飼い方をすれば、いかに猫といえども権利の濫用として信頼関係が
  破壊されたとみることができるであろうし、賃貸借契約上の債務
  不履行として契約解除や損害賠償請求といった問題に発展すること
  があり得ますので借主は心得ておかなければいけません。

  今回のケースでは、ペット飼育の禁止特約が定められていない
  場合でも、暗黙の了解(黙示の特約)ということもあり得、その
  ことが争われることもありますので、ペット飼育を禁ずる場合は、
  その旨を契約書の特約条項に掲載しなければいけないということ
  になります。

  一番言えることは、貸主・借主 双方の信頼関係のもとに賃貸借
  契約が成り立っていますので、ことを始める前に相談した方が
  いいですね。